そよかぜスタイル

ローカル私鉄の廃線跡へ行って感じたこと

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新幹線の開業や、消え行く寝台特急の話題。
春のダイヤ改正に合わせて、鉄道の話題が盛り上がってくる季節です。

でも、スポットライトを浴びる華やかな鉄道ばかりではありません。



名鉄谷汲線 保存車輛 車内




たまには賑やかな場所から目を移し、地域の暮らしを支えたローカル線に目を向けてみてはどうでしょう。

岐阜県の山間部を走ったローカル線、谷汲線の廃線跡を巡ってきました。
写真とともに現在の廃線跡を紹介しながら、廃線跡巡りで感じたこと、楽しみ方について感じたことをまとめてみます。

谷汲線とは

名鉄谷汲線とは、2001年に廃線になった岐阜県揖斐郡、黒野駅から谷汲駅までを結んでいた11.2キロのローカル線。
昭和3年製造の電車が、毎日行き来していた奇跡の鉄道です。



名鉄谷汲線 保存車輛
旧谷汲駅の保存車輛



旧谷汲駅ガイド



鉄道が走っていた当時は、岐阜県揖斐郡谷汲村にあった谷汲駅。
現在は、揖斐川町になっています。
すでに代替バスも廃止されていまい、交通機関を利用する場合は、東海道本線大垣駅から、こちらも国鉄時代に廃線になったローカル線、樽見鉄道に乗り換えて、谷汲口駅下車、駅前から近鉄バスに乗り換えor徒歩になります。






交通機関をご利用の場合はこちらの時刻表を確認して下さい。
これから桜の季節。
樽見鉄道沿線は、谷汲口駅も含めて終点の淡墨桜など、桜の名所でもあるので、花見をしながら廃線跡を楽しむのもお勧めです。





谷汲口駅近くの谷汲温泉は、樽見鉄道の線路脇にあります。
このあたりには、何気に温泉スポットは点在していますが、鉄チャンなら湯船にゆったりつかって、踏切の音や走行音を楽しめるここで決まり。



谷汲口駅の広場には、ストーブ列車が保存されています。
国鉄から第三セクターになったあと、通勤通学の時間帯にストーブ列車が普通に走っていたんですね。凄いです。

ちょっと脱線してしまいましたが、終着の谷汲駅。
近代的な、でも、なんともいえない雰囲気の谷汲駅・・・・
なんでこのような姿になってしまったか、愛すべき街の"顔"が、このような味気のないものになってしまってちょっともったいない気がします。
山の中にあるオブジェやさびれた昆虫館・・・当時、この事業に誰も反対しなかったのか、このあたりの公共事業は、どこか場当たり的なというか無計画というか・・・

その土地でしっかりと刻んできた歴史をもう少し大切にしていく道はないものでしょうか。
それこそが、ここにしかないたくさんの人たちの記憶や思い出がつまった唯一のもの、本当に貴重なものになるような気がしてならないのです。



旧名鉄谷汲線 谷汲昆虫館
谷汲昆虫館


旧名鉄谷汲線 谷汲駅
旧谷汲駅



旧名鉄谷汲線 谷汲駅
記念館の展示品


旧名鉄谷汲線 谷汲駅売店
売店 鉄道グッズやちょっとしたお土産物が並んでいます



駅舎部分には、谷汲線で使用されていたグッズ類が展示されています。
併設されている昆虫館へは、入館料が必要。

改札口を抜けると、先ほどの赤い電車がホームに停車しています。




旧名鉄谷汲線 谷汲駅 保存車輛
保存車輛 乗車できます



旧名鉄谷汲線 谷汲駅 保存車輛 運転席
保存車輛の運転席



谷汲駅に保存中の車輛は全部で2つ。
普段行き来していたまっかな電車と、大正に製造された通称丸窓電車。
2000年以降にも、こんな電車が走っていたなんて奇跡だっ!と、思わず叫びたくなる人もいるかと思います。
まっかな電車、あかでんには乗車が可能です。

谷汲周辺にはランチなどができる喫茶店、観光客向けのお店、となりの横蔵小学校跡に入っているレストランなどに足を伸ばしてもいいと思います。
元教室でゆったりランチをいただくことができます。





旧名鉄谷汲線 谷汲駅
谷汲駅の記念写真




黒野駅を目指します



旧名鉄谷汲線
谷汲駅から黒野方面を見る



ここから、黒野方面に向かいます。
以前は細い道でしたが、このあたりも道路は拡張されかなり走りやすくなっています。



途中で、谷汲口駅方面へ向かう道が左側にわかれて、そのすぐ先の交差点を右へ曲がっていくと、谷汲線の廃線跡沿いに車で走っていくことができます。

黒野方面に向かって右側に、旧長瀬駅。
新しい道路が開通してからこちら側はすっかりさびれてしまった様子。
駅前の旅館は健在でしたが、賑わっていた喫茶店は閉店しています。
広かった駐車場は柵で囲まれていて、ぽつんと自転車置き場とホームのみが残されていました。

長瀬駅から先は、道が狭くなる部分もあり、トラックが頻繁に行き来しているのでスピードはくれぐれも控えめに。

途中、根尾川を挟んで樽見鉄道が走っているのが見えます。
線路は一部、道路になっている部分もありますが、廃線跡は比較的簡単にたどっていくことができます。


長瀬から赤石にかけて、夏は鮎を食べさせるやなが賑わいます。
川沿いで鮎をいただくのもまた贅沢です。
夏はもちろんのこと、桜も奇麗なので、春もとても景色のきれいな場所です。







谷汲線が走っていた頃は、やなからもガタゴト走っていく電車を眺めることができました。
今は、樽見鉄道のディーゼルカーがブォーンと走っていくだけです。



旧名鉄谷汲線
旧谷汲線 赤石〜北野畑



旧名鉄谷汲線
旧谷汲線 赤石〜北野畑



赤石駅を通り越していくと、谷汲線のハイライト。
川沿いをカーブしながら線路は続いていきます。
車窓から眺めた景色は今もそのまま・・・・
写真の右手方向に、やながあります。
このあたり、かなりの難所が続きます。
代替バスは通れなかったため、かなり遠回りをして対岸を走っていた区間です。


大きくカーブしていくと北野畑駅。
唯一の交換駅です。
小さな駅舎は取り壊されていましたが、ホームは確認できます。





旧名鉄谷汲線
旧谷汲線北野畑駅




旧名鉄谷汲線
旧谷汲線北野畑駅




線路際にあった家などもなくなり、僅かに鉱山の事務所と社宅らしきたてものが残っていました。
ここに駅があったというのは、今思うと、不思議な雰囲気。
一日の乗降数は数人レベルだったはずです。

ここから更地駅まで、川沿いを走っていきます。
この区間は、谷汲線いちばんの難所。
工事も大変だったと記録に残っている場所です。

ちょっとした峠を越えていくと右手に更地駅のあとが道路からでも確認できます。
この駅にあった、大きな桜の木は残っていました。

今回は、時間がないのではしょらせていただきますが、廃線になった今も、春に訪れたい駅のひとつです。

ミュージアムとしてリニューアルした黒野駅


かつては、本揖斐、岐阜方面への乗り換え駅だった旧黒野駅は、公園として整備されミュージアムになっていました。
駅舎の中には喫茶店が入り、広い構内跡地は、たまに、フリーマーケットの会場として利用されたりしているようです。
駐車スペースもかなりあります。



黒野駅ミュージアム
黒野駅ミュージアム



黒野駅ミュージアム
黒野駅ミュージアム



黒野駅ミュージアム




黒野駅ミュージアム




黒野駅ミュージアム




駅前からは、商店街へ続く道がありますが、お店も人影もまばら。
構内の一部には、線路も残っています。
将来、そう遠くないうちに、電車をここに持ってくるとか来ないとか。
車庫があった辺に、遊具が設置されています。
ホームは残されていましたが、残念ながら立ち入り禁止でした。

今度は、子どもを連れてゆっくり遊びに来てみたいと思います。





廃線跡巡りをするとさまざまな想いがこみ上げてくる



黒野駅ミュージアム




廃線から10数年経過したローカル線を簡単にたどってみました。
地域の暮らしを維持していくために必要だといわれている公共交通。
一定の線引きをして単なる輸送手段として捉えると、とたんに存在する価値を失ってしまうようです。
鉄道廃止から僅か数年でバスすら維持できない(かなりびっくりしてしまいました)ということは、バスにはバスの、鉄道には鉄道のメリットがあり、単純に代わりになるというものではないのかもしれません。

そういった疑問などは、(社会状況の違いもあるので)単純に統計を比較してでてくる数字ではないかと思いますが、人口の流入数など調べてみる価値はあるように思いました。
廃線跡についてしっかりとしたまとめが存在しているのかわかりませんが、そういったものがあるなら、一度じっくり目を通してみたいです。


廃線跡をめぐってみると、さまざまな想いがこみ上げてくるものです。
なんでここに駅があったの?
そんな疑問が芽生えたら、そこを入口にその地域の歴史や文化を深く知るきっかけになり、旅の目的や楽しみがぐんと増えそう。

廃線跡をたどることは趣味のひとつとして確立されているジャンルですが、郷土史に興味がある方、また、景色がきれいな場所が多いと思いますので、写真好きの方はもちろん、旅行好きな方にも趣味としてぴったりマッチするのでは。

私も、今度は子どもたちと一緒に、いくつか興味のある場所におでかけしてみたいなぁと思いました。
※この記事をアップするために、今回は、相方にアドバイスをもらってアップしました。

廃線跡巡りをよりいっそう楽しむために必要なものといえば現役時代の様子が書かれている書籍類。
鉄道の本といえば、宮脇俊三さんの本がまっさきに候補に挙がります。
こういった書籍を手がかりに、今の様子と比べてみながら、廃線跡を巡ってみるのもいいと思います。







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