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各地に残る伝統行事『虫送り』まとめ14+1選

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虫送り 静岡
伝統行事 虫送り 静岡/岡部



静岡県、藤枝市岡部町。
カンカンカン・・・
「田の虫おくれ〜」
夏の夕暮れ時。
松明を持った子どもたちが、掛け声とともに田んぼのまわりを歩いていきます。

家族旅行2日目後半。
駄菓子屋さんでたらふく静岡おでんを食べたあと、稲につく害虫駆除を目的とした伝統行事虫送りを見てきました。

この行事のルーツは、平家物語のころにさかのぼります。
斎藤実盛という人が乗っていた馬が、稲の切り株につまづいたところを討ち取られたため、そのたたりで稲を食い散らすとか。
稲につく害虫をどうぞあちらへと『送る』と表現するところに深さがあります。

今ではもうほとんど残っていないかと思っていたら、映画『八日目の蝉』で再現されたのをきっかけに復活した香川県小豆島をはじめ、全国津々浦々、いたる所で虫送りがおこなわれていることがわかりました。

夏の夕暮れ時、田んぼの中に浮かび上がる松明がとても幻想的だった『虫送り』について書かれている記事を厳選してまとめてみます。



虫送りはたくさんの地域でおこなわれていた


今回、役場、観光協会など、公式な問い合わせ先のページがある場合は、各ページにリンクを記載しておきます。

一時は絶滅寸前だった(と、思っていただけかも)伝統行事虫送り。
稲作が盛んな地区では、集落ごとに藁を集め、松明や実盛人形を作り、害虫駆除の為に地区の人たち総出でおこなわれてきたようです。
過去、松明や人形の制作風景を目の当たりにしたことがありますが、美しい仕上げの為に藁の袴を1本ずつ取り省いていくという、気が遠くなるような作業がありました。
農村地帯は、過疎化による後継者不足や、農業そのものが近代化してしまったため、毎年、藁の調達にも苦労しているとのこと。

それほど残っている地域はないかと思っていたのですが、調べてみると、載せ切れないほど各地でおこなわれていることがわかりました。

香川県 小豆島

美しい写真に簡潔な解説が添えられています。
四国の話題中心に、とてもシンプルで素敵なサイトです。



詳細は、小豆島町のサイト、オリーブ情報サイト オリーブステーション、『イベント情報』で確認できます。


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青森県 五所川原市

青森県の観光、物産、グルメなどあますことなく紹介されているBlog。
日中、縁起物のお餅を見物している人たちに塗り付けながら町の中を練り歩き、行く先々でお菓子やお茶などがふるまわれています。
田んぼの中に飛び込み、藁人形は木の上に掛けられます。



詳細、問い合わせ先は五所川原市のHPで。


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岩手県 奥州市

奥州市胆沢区、観光物産協会のBlog。



昔、この行事への参加を嫌がっていた小学生だった息子さんも、自分がお父さんになると、
子供たちを送りだすようになる・・・その時代によって、大切にされたり、
面倒がられたりしながらも、このように続けられてきた虫送りの行事。


ワイワイガヤガヤ夢中になってその季節の行事を楽しむ大人達の姿、その姿を見ながらこの子供たちは
大人になり、親になり、そして初めてこの地で育まれてきたこと、その価値を知るのかもしれません。


記事の締めくくりが印象的なこちらでは、奥州市内唯一、虫送りが残っている地区と紹介されています。
昼間に出発、お菓子などがふるまわれるようです。



問い合わせ先は、奥州市胆沢区観光物産協会HPで確認して下さい。


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秋田県 小坂町

東北、秋田県小坂町。
ドライブ中に偶然であった虫送りについて書かれています。
人形は、男女を表したものが使われていて、実盛さん関係なくなっている感じです。


「虫送り」とは、てっきり田畑や人間に害を与える虫のことだと思っていたが、聞いてみると「人間の心の虫」なのだそうだ。 虫送りのルーツも少し違っているようです。


かなり素朴な雰囲気に興味をそそられます。



問い合わせ先は、小坂町役場のHPで確認して下さい。


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新潟県 五泉市

川に短冊を流し、神社で子どもが火渡りをする様子が記事で紹介されています。
「虫地蔵」を背負って歩いているようです。
田んぼの中を歩いていくカットが素敵です。とても素朴な雰囲気。


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新潟県 阿賀町

こちらでは、習字をのぼりにして歩いている様子が記事にアップされています。



残念ながら、2015年、地区に子どもがいなくなったため(小学生1人、中学生1人)休止になりました。

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石川県 野々市市

野々市市では3地区で虫送りがおこなわれています。
クライマックスは虫送りとかかれた火文字と松明に点火。
写真からは、かなり迫力を感じます。



詳細は、野々市市HP、観光のページで。


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埼玉県 皆野町

まるで七夕を連想させるような、美しい虫送りが2記事にわたって紹介されています。


村にとっての悪い虫はなんでもこの竹の先のヒラヒラの「梵天」に くっ付けて流してしまおう!というユニークなところもあります しかし5mはあろうというこの梵天を掲げながらの 山登り~下りはかなり疲れるだろうな。。。と思いました




詳細、問い合わせ先は、皆野町ホームページで確認できます。


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三重県 四日市

鉄道好きな方なら、全国でも珍しいナローゲージの電車が走っていることで有名なこの地域。
虫送りがおこなわれる、四日市四郷地区のHPには、詳しい解説と写真が満載です。
復活して、夏祭り的な意味合いが強いようです。



問い合わせ先については、四日市観光協会のHP『祭・イベント』のページで確認して下さい。


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京都府 舞鶴市

工夫をこらした子どもたちが作る松明がユニーク。
どれだけいい松明を作るか?という審査もあるので、子どもたちの力作が揃います。
丹後地方の虫送りについて詳しく解説されています。



国土庁が制作したページに問い合わせ先などが書かれています。


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京都府 木津川市

写真、文ともに、素敵なページ。
こちらでも、松明のコンテストがおこなわれている様子。
どのページもため息が出ます。



問い合わせ先はこちらで。


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奈良県 宇陀市

こちらの虫送りは、日にち、曜日は関係なく『夏至の前日』になっているとのこと。
他のページで日程を見ていると、微妙にずれがありました。

数珠送りが特徴的です。


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広島県 北広島町

こちらは、実盛人形を川に流すスタイル。松明はありません。
『虫送り踊り』が神社で奉納されています。
詳細な解説と写真満載で紹介されています。



問い合わせ先はこちら。


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高知県 仁淀川町

ページを見ていて、デザイン事務所的なBlogかと思ったら、なんと観光協会公式のBlogでした。
素晴らしいっ


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静岡県 藤枝市

虫送り 静岡




富士サファリパーク、岳南電車、駄菓子屋さんのおでんと続いた旅の締めくくりに私たちが見たのは静岡県藤枝市の虫送り。
玉露の里で美味しい抹茶ソフトをいただいて、へろへろになった子どもたちを車の中に寝かせての見物でした。
なので、写真も聞き取りもそこそこに・・・

毎年、秋には、このあたりの田んぼがコスモス畑になるそうです。

岡部の虫送りについては、藤枝市のHPでご覧下さい。


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虫送りまとめ

家族旅行で見てきた虫送り。
全国に残っている虫送りをまとめようとこの記事を書きはじめましたが、とても収め切れないほど各地で行われていることがわかりました。

ここにまとめた各地の虫送りは、一部でしかありませんが、それぞれの地域で少しずつ行事のスタイルに違いがありました。

火を使わない地区もありましたが、稲についた害虫を駆除する有効な方法がなかった時代、松明の火に害虫がよってくることで駆除できる効果が期待されていたそうです。

現在残っている形は様々ですが、害虫駆除という目的はもちろんのこと、地区の人たちが協力してひとつのことを行うことこそが、その土地や、人の繋がりを大切に思う先人たちの知恵(願い)だったのではないかと、虫送りを見ていて感じました。

調べながら、そこに広がる光景、人々の表情、そして忘れてはいけない地域格差のこと。
さまざまなことを思い浮かべながら、都心部にはない豊かさを感じ胸がじんとしてしまいた。
各記事をご覧になった皆さんはいかがでしたか?

こういった伝統行事が末永く続いていくことを願います。


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